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じょう・りゅう!

 14,2016 15:01
11歳の科学が大好物の少女が殺人事件を解決する、『パイは小さな秘密を運ぶ』(アラン・ブラッドリー著、創元推理文庫 2009年)に、蒸留の様子が描写されていたので紹介します。


 ・・・あたしは色鮮やかな葉っぱをガラスの蒸留器(レトルト)に詰めた。用心して手袋ははめたまま、ついにつやつやした葉っぱを無事に詰め終えた。さあ、これからがあたしのお楽しみ。
 レトルトに栓をして、片側を熱湯の入っているフラスコにつなぎ、反対側をコイル状のガラスの凝縮チューブにつなぐ。チューブのあいている端は、空っぽのビーカーの上につるしてある。熱湯がぐらぐらと泡立つと、水蒸気がチューブを通り、レトルトの葉っぱのあいだに入っていく。すでに葉っぱは丸まり、柔らかくなりかけている。熱い蒸気が細胞のあいだの小さな空洞を開かせ、生きている植物の精髄とも言うべきオイルを放出させているんだ。
 これは、昔の錬金術師が腕を振るっていた方法。炎と蒸気、蒸気と炎。蒸留だ。
 この作業、大好き。
 蒸留。声に出していってみた。「じょう・りゅう!」
 コイルのなかで蒸気が冷えて凝縮するのを畏敬の念をこめて見守り、大喜びで揉み手しているうちに、最初の澄んだ一滴がたまり、やがて〝ポトン!″と音をたてて、待ち受けている容器のなかに落ちた。
 お湯がすっかり蒸発して作業が完了すると、あたしは炎を消し、両手に顎を乗せて、うっとりと見守った。ビーカーのなかの液体が、はっきりと二層に分かれていく。下のほうには透明な蒸留水、その上に明るい黄色の液体。これこそ、あの葉っぱの精油。ウルシオールと呼ばれ、とりわけ塗料の漆を作るのに使われている。
   (p22~23)


この女の子、漆の葉っぱからかぶれる成分を採りだして、姉の口紅に混ぜて(ウルシオールを混ぜたためにさらさらしすぎたと思ったら、蜜蝋を混ぜ込んで元の濃度に戻していました!)、知らずに使った姉の唇がどんな状態になるのか観察してやろうという魂胆です。
おっそろしい妹だわ。
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